遺言によっても奪うことが出来ない相続人の権利を遺留分といいます。配偶者や子など身近な家族には、財産の一定の割合を必ず相続させることが義務付けられています。(民法1028条)
全財産から遺留分を差し引いた部分が、遺言者の自由裁量で処分できる自由分となります。
遺留分の割合は、以下の通りです。
相続人が直系尊属(親)のみ 財産の3分の1
相続人が配偶者のみ 財産の2分の1
相続人が配偶者と子 財産の2分の1
相続人が配偶者と親 財産の2分の1
相続人が子のみ 財産の2分の1
※兄弟姉妹には遺留分はありません。
遺留分の計算には、相続人が相続開始前1年間に受けた贈与分を含めます。これを持ち戻しといいます。
この遺留分の持ち戻しの計算方法は以下のようになります。(民法1029条)
(1) 相続開始時の現存遺産を算定
(2) 相続開始前1年間の贈与を相続人の相続分に加算する(持ち戻し)。
1年以上前の贈与でも、遺留分侵害になることを知っている場合は持ち戻しの対象となる。
(3) 相続債務を控除する。
(4) 遺留分の規定に従い、各相続人の割合(持ち分)に応じて分配する。